【急落】トヨタ株の下値目途は?

株式情報 投資戦略 日本株 2024.08.14

峯岸恭一 峯岸恭一

現在急激な円高が進行しています。7月の上旬には一時は1ドル160円を超えていたものの、8月5日は1ドル141円台まで円高方向に動いています。

今まで円安の恩恵を享受してきた日本の代表企業の【7203】トヨタ自動車もその影響を大きく受けています。

今回は、トヨタ自動車が円高によってどの程度業績に影響を与えるのかと今後の株価動向について書いていこうと思います。

 

円高がトヨタ自動車に与える影響


トヨタ自動車のように輸出が多い自動車産業では、円高は企業の収益を圧迫する要因となります。

特にトヨタは海外での販売が多く、為替の変動に非常に敏感です。
以下の表は、各完成車メーカーの2025年3月期の想定為替レートと為替感応度を示しています。

為替感応度とは、為替が1円動くことでどれだけ利益が増減するかを示す指標です。


 

トヨタの場合、1円の円高が進行するだけで約500億円の営業利益が押し下げられます。
企業の規模が大きいこともあり、他の企業と比較しても感応度がかなり大きいことがわかります。
2025年3月期の業績予想では、営業利益は4兆3,000億円と見込まれており、1円の円高で約1.2%の影響を受けることになります。


トヨタ株の下落予測

 

では、トヨタ株は今後どの程度まで下落するのでしょうか。トヨタの株価は、2024年3月27日に高値3,891円を付けた後、円安が続いても下落傾向にありました。
これは、日銀の介入が警戒されたり、2025年3月期の営業利益見通しが19.7%減少したことが影響しています。

第1四半期の業績も市場の期待を下回り、円高が進んだことで株価の下落が加速しています。

急激な下落が見られる中で、買い戻しが入る可能性もありますが、トレンド転換には時間がかかると見られます。

 

株価の下落余地を予測するために有効な指標の一つが、PBR(株価純資産倍率)です。
これは、株価を一株当たりの純資産で割った指標で、様々なサイトでも記載されているメジャーな指標です。


この指標を用いることで、過去との比較が容易になり、現在の株価の下落余地を予測することができます。

 

トヨタの過去のPBR下限を調査すると、0.7~0.8倍付近が下限となっています。
つまり、PBRがこの数値になるような株価を計算することで下値目途を知ることができます。
実際に計算してみると、おおよそ1,950~2,000円となり、この価格帯がトヨタの下値目途となります。

 

この指標はあくまで過去の水準と比較するものであり、業績の悪化に目途がつかなかったり、市場環境が悪化した場合など下値目途を明確に割り込む可能性があります。そのため、さらなる円高の進行やトヨタが新たな悪材料を発表などがあれば、さらに下回る可能性もあるため、あくまで参考値としてご覧ください。


まとめ

 

現在の相場環境において、トヨタ株は下落傾向にありますが、これは投資家にとって押し目買いのチャンスとなるかもしれません。

ですが、無策に買い付けるのではなく、過去の水準を参考にしながら、慎重に投資戦略を立てることが重要です。
トヨタだけでなく、様々な銘柄について下値目処を計算し、仕込み時を伺ってみてはいかがでしょうか。

株式情報 投資戦略 日本株 2024.08.14

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この記事を書いた人

峯岸恭一

日本投資機構株式会社 データアナリスト
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本ディープラーニング協会認定ジェネラリスト(G検定)
日本投資機構株式会社 データアナリスト
テクニカルアナリスト(CMTA®)
ジェネラリスト(G検定)

総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計等をもとに銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活動の幅を拡げている。

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