【暴落でチャンス】 決算発表から見えた注目銘柄

株式情報 投資戦略 日本株 2024.08.20

遠藤 悠市 遠藤 悠市

8月5日の日経平均株価は急落し、前週末比4,451円28銭(12.4%)安の31,458円と、ブラックマンデー超えの歴史的急落となりました。

 

急落の根底には、米国景気の先行き不安やそれに起因する米ハイテク株の続落と、日銀の利上げによるドル安・円高の進行が重なり、売りに押されたと推測されます。

 

しかしながら、8月6日はこの流れが一転し、その後上げ幅を拡大して戻しつつあります。

 

相場の急落により、多くの投資家が持ち高の調整や新たなポジション構築を急いでいたかと思われますが、国内株式市場では8月1日から8月14日の間に多くの企業から決算発表がありました。

 

今回の暴落により上場企業の多くがパニック売りにより大幅な下落となりましたが、安くなった株価の位置で決算を迎えたことにより、上昇幅が普段よりも大きくなっている可能性があると見ています。

 

今回は、7,8月に決算発表を行った企業の中から、今後の成長や株価上昇が期待される銘柄をいくつかピックアップしてご紹介していきます。

 

・保土谷化学工業(4112)

https://www.hodogaya.co.jp/(企業HP)

 

東証プライム。化学メーカー中堅企業であり、プリンター用トナーなど電子材料を主体とし有機EL材料にも注力しています。

 

8月9日に発表された25年3月期第1四半期決算では、連結経常利益は前年同期比4.2倍の32.1億円に急拡大し、通期計画の48億円に対する進捗率は67.0%に達しました。

 

【注目ポイント】

特に機能性色素セグメントにおける有機EL材料の販売が拡大したことにより、大幅な増収増益となっているところです。

 

機能性色素セグメントにおける有機EL材料の販売が大きく伸長したことが主な要因で高い進捗率となっていますが、第2四半期以降の需要動向及び金融市場動向に不透明感があり、現時点では期初公表の業績予想を据え置いています。

 

第2四半期以降、修正の必要性が生じた場合は、速やかにお知らせするとのことであり、今後業績の上方修正期待が高い銘柄であると考えられます。

 

・日本化学工業(4092)

https://www.nippon-chem.co.jp/index.html(企業HP)

 

東証プライム。工業薬品企業であり、無機化学は首位級のシェアを誇ります。セラミック材料事業を強化しており、電池正極材も手掛けています。

 

8月6日に発表された25年3月期第1四半期決算では、連結経常利益は前年同期比3.9倍の17.4億円に急拡大し、通期計画の29億円に対する進捗率は60.0%に達してます。

 

【注目ポイント】

機能品事業では、ホスフィン誘導体は、海外向け触媒が大幅に落ち込んだものの、量子ドット向け及び有機合成用触媒原料が大幅に伸びたことにより、売上高は大きく増加しました。農薬原体、電池材料、電子セラミック材料、回路材料、高純度電子材料を含むすべてのセグメントで売上高が大きく増加しています。

特に機能品事業の伸びが良く、事業環境も良好と判断されます。

 

同社は、過去10年間で2014年第2四半期での上方修正が1度ありましたが、当時の第1四半期における経常利益進捗率は45.7%でした。

今回の第1四半期における進捗率は60.0%と2014年時よりも高く、今年は次回決算での上方修正に期待持てると言えるでしょう。

 

・フジクラ

https://www.fujikura.co.jp/(企業HP)

 

東証プライム。独立系で電線御三家の一角の企業です。フレキシブルプリント基板で世界有数のシェアを誇ります。

 

8月8日に発表された25年3月期第1四半期決算では、連結経常利益は前年同期比66.8%増の260億円に拡大しました。

また、上期の同利益を従来予想の290億円から480億円に65.5%上方修正、通期の同利益を従来予想の680億円から870億円27.9%上方修正し、3期連続で過去最高益を更新する見通しを示しています。

さらに、今期の上期配当を従来計画の27.5円から32.5円に増額し、下期配当も従来計画の27.5円から32.5円に増額修正しました。

 

【注目ポイント】

情報通信事業は、生成AI拡大を背景にデータセンタ向けの需要が引き続き伸長するとともに、為替影響もあり、前年同期比で営業利益は1.5倍となっています。

エレクトロニクス事業は、選別受注や産業機器向け需要の低調により減収となったものの、利益面ではデータセンタ向けHDD需要増や品種構成の良化、為替の影響等により事業全体では、前年同期比で営業利益は1.6倍となっています。

第2四半期は、情報通信事業部門において生成AI需要拡大を背景とした伸長等が継続すると見込まれており、想定為替レート145円としています。

 

通期連結業績予想については、情報通信事業部門が引き続き堅調に推移すると見込まれるものの、足元で米国景気の先行きや為替動向の不透明感が高まっていることから、下期数値は据え置き、第2四半期連結累計期間業績予想の修正を反映した上方修正を行うとしており、

下期も業績の好調が想定されれば、さらに業績の修正が期待されます。

 

今回は7~8月に決算発表が行われた企業の中から、業績・事業環境が良好であり、業績の修正が期待される銘柄をピックアップしてご紹介しました。

 

このほかにも、決算により今後が期待される銘柄が多くありますので、今後も適宜ご紹介していきます。

株式情報 投資戦略 日本株 2024.08.20

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この記事を書いた人

遠藤 悠市

日本投資機構株式会社 アナリスト日本投資機構株式会社 アナリスト
大学時代に投資家である祖母の影響で日本株のトレーディングを始める。大学時代、アベノミクスの恩恵も受けて、株式投資を投資金30万円で始め4年間で990万円まで資金を増やすことに成功する。卒業後、証券会社、投資顧問会社を経て2019年2月より日本投資機構株式会社の分析者に就任。モメンタム分析を最も得意としており、IPO(新規上場株)やセクター分析にも長けたアナリスト

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