【近づく日銀の決戦】 政策見直しが市場に与える影響とは!?
マーケットニュース 相場展望 国内情勢 2023.07.25

7月27日(木)から28日(金)にかけて行われる、日銀の金融政策決定会合においてイールドカーブコントロール(YCC)の見直しがなされるのではないかという見方が浮上しています。
仮に、日銀が政策修正を行いイールドカーブコントロール(YCC)の見直しをした場合には、金融市場に大きな影響を及ぼす可能性があります。
そのため、今回の動画では政策修正が行われるのか?
イールドカーブコントロール(YCC)の見直しがあった場合、株式市場はどうなるのか?
今回は、考えられるシナリオを2つ用意したので、わかりやすく解説していきます。
目次
話題のイールドカーブコントロール(YCC)とは
イールドカーブコントロール(YCC)とは、長期金利と短期金利の誘導目標を操作し、債券の利回りと償還期間との相関性を示したイールドカーブを適切な水準に維持することを指します。
日銀は、2016年9月「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を決定しており、この「長短金利操作」の部分がイールドカーブコントロールとなります。
当時の政策の目的であった2%の物価上昇と金融機関の収益改善を目指すため、イールドカーブ・コントロールが導入された背景があります。
経済活動を活性化させる目的で導入されたイールドカーブコントロールですが実は、その政策が見直されるのではないかという思惑があるんです。
イールドカーブコントロール(YCC)見直しの背景
見直しの思惑が浮上した理由として、日銀が6月15日から16日に開いた金融政策決定会合での意見が要因として挙げられます。
イールドカーブ・コントロールを巡り、将来の出口局面での急激な金利変動の回避、市場機能の改善、市場との対話の円滑化といった点を踏まえればコストが大きく、
「早い段階で、扱いの見直しを検討すべき」との意見が出ていたことが明らかになりました。
また、「企業行動は明らかに変化している」として、物価上昇率が先行き2%を下回らない可能性が高いとの意見もみられました。
このような意見が出たことにより、イールドカーブ・コントロール修正の可能性が指摘され市場で思惑が膨らんでいる状況となっています。
政策修正の可能性は?
7月27日から28日に行われる金融政策決定会合にて、イールドカーブ・コントロールが修正されるのかが焦点となっています。
足元のインフレ率が上振れていることもあり、当面のインフレ率については強気な見通しが示されています。
7月の展望レポートでは、23年度のインフレ見通しが上方修正される可能性が高いと考えられます。
しかし、いずれも植田総裁が重視しているインフレの基調の強まりを示すものではないと思われます。
インフレの基調については、今後の賃上げの持続性などを見極めていく必要があり、まだ持続性に懸念があるといった慎重な意見も多いとされています。
このことから、インフレ目標達成を理由に金融政策が早期に正常化される可能性は低いと考えられ、7月の金融政策決定会合でイールドカーブコントロールの修正には踏み切らないと見られます。
今後考えられる2つのシナリオ
【イールドカーブコントロールの修正があった場合】
修正があった場合、大きな影響として金利の上昇が挙げられます。
金利の上昇は利ざやで稼ぐ銀行にとってはポジティブな要因となりますが、借り入れの多い不動産業や資金調達が必要な新興企業にとってはネガティブな要因となります。
このため、イールドカーブコントロールの修正があった場合の株式市場では銀行株に資金が集中し、不動産株や新興株からは資金が抜け下落すると考えられます。
【イールドカーブコントロールの修正がなかった場合】
修正がなかった場合は現状維持として捉えられ、大きな金利の上昇も起きないと考えられます。
政策変更が好材料とされる銀行株はすでに物色されていますが、修正がない場合は期待剥落によって銀行株の下落が見込まれます。
また、金利上昇がネガティブ要因であった不動産株や新興株は修正がなかった場合には、緩和継続として資金の流入が続くと考えられます。
一般的に、金利が下がると株価は上がり、金利が上がると株価は下がる傾向があるため金利は株価に大きな影響を与えると言えます。
ですから、7月27日から28日に行われる金融政策決定会合は非常に注目されています。会合の結果は28日に発表される予定のため、今から準備をして当日に備えましょう。
マーケットニュース 相場展望 国内情勢 2023.07.25

この記事を書いた人
日本投資機構株式会社 アナリスト日本投資機構株式会社 アナリスト
大学時代に投資家である祖母の影響で日本株のトレーディングを始める。大学時代、アベノミクスの恩恵も受けて、株式投資を投資金30万円で始め4年間で990万円まで資金を増やすことに成功する。卒業後、証券会社、投資顧問会社を経て2019年2月より日本投資機構株式会社の分析者に就任。モメンタム分析を最も得意としており、IPO(新規上場株)やセクター分析にも長けたアナリスト
アクセスランキング
- デイリー
- 週間
- 月間