【2022年も年末恒例のIPOラッシュ先読み】 注目の有望銘柄は!?

株式情報 日本株 新規上場(IPO) 2022.12.02

遠藤 悠市 遠藤 悠市

IPOとは、「Initial(最初の) Public(公開の) Offering(売り物)」の略で、「新規公開株式」または「新規公開株」「新規上場株式」などと表されます。

 

株式の所有が少数株主に限定されている未上場会社が、新たに証券取引所に株式を上場し、一般の投資家に向けて売り出すことを指します。つまり、オーナー一族やベンチャーキャピタルなど、限られた人しか持てなかった未上場企業の株式が、証券会社に口座を持っている人であれば誰でも、株式市場を通して自由に売買できるようになるということです。

 

例年、年末にかけてIPO(新規公開株)が集中しやすい傾向にあります。その理由のひとつとして、企業の決算期にあたることが考えられます。日本企業の決算期は12月と3月に集中する傾向があり、通常、決算発表後に株主総会、上場申請を行い、その後、証券取引所審査、上場申請承認を経てIPOという過程となりますので、この過程に要する期間を考慮すると、どうしても新規株式公開は下半期、特に年末に向けて集中してしまうようです。また、IPOを目指す会社は、上記でも書いた決算期の都合上、申請して実際に上場するまでの期間を同じ事業年度内として、期を超えない上場を目指しています。このため、12月にIPOが集中しやすくなっていると考えられます。

 

 

そんな背景がある中、今年の12月も上場予定社数は26社と、昨年の33社を下回りますが、それでも12月中旬から後半にかけては同日に2〜3社のIPOが連続する日程となっており、今年もIPOラッシュとなることには、変わりはありません。

 

2022年の年末にかけてIPOとなる企業は、私が分析したところ、実は赤字継続で若干業績に不安が残っている起業が多い印象があります。中には直近の評価額に対し、今回の上場時価総額が8分の1になっているものもあり、「IPO銘柄ならとにかく買い!」という状況ではないとみています。

 

それでは、業績不安が残る企業が多い2022年末のIPOラッシュをどう攻略すれば良いのか?

今年の注目IPO銘柄はどれなのか?

 

まずは過去の事例も踏まえて、上場後の株式市場での値動きに注目していきたいと思います。

昨年2021年12月のIPO銘柄の中で、上場後の値動きが良かった銘柄としては、湖北工業(6524)、HYUGA PRIMARY CARE(7133)、エフ・コード(9211)が挙げられます。

 

この3銘柄に関して簡単に概要をまとめてみます。

湖北工業(6524)

事業内容:アルミ電解コンデンサ用のリード端子及び光ファイバ通信網用の光部品・デバイスの製造・販売。

公募株式数:2,600,000株

時価総額:360億円

HYUGA PRIMARY CARE(7133)

事業内容:在宅患者に対する在宅訪問薬局サービス、退院サポートサービス、ケアプランサービスを行うと共に、在宅訪問薬局に取り組む中小薬局事業者に対するノウハウ提供や薬局運営サポートシステム貸与サービスを提供。

公募株式数:305,500株

時価総額:89.9億

エフ・コード(9211)
事業内容:CX(顧客体験)に基づく顧客獲得・育成支援サービスをSaaSで提供。DX戦略設計・実行支援、顧客獲得・育成等のマーケティング支援等も手掛ける。

公募株式数:159,700株
時価総額:41.3億

 

これを見ると3銘柄のうち、HYUGA PRIMARY CARE(7133)とエフ・コード(9211)は、時価総額が100億円以下で、公開株数が少ないといった共通点があります。業績も良く、事業内容も今後の成長性が高いと思われる銘柄はこの限りではありませんが、一般的に公開株数が多ければ多いほど、潜在的な売りが多くなるので、株価が上がりづらい傾向にあります。この2銘柄は、こういった潜在的な売りが少なく、事業内容に成長性を感じやすかったため資金が集まったと見られます。

 

 

一方、時価総額が360億円と規模の大きい湖北工業(6524)ですが、こちらは近年の需要急拡大で業績好調が好調な上、「半導体関連」といったテーマも兼ね備えていたため、上場後に大きく上昇したものと思われます。

 

以上の点を踏まえると、今年のIPOラッシュでは時価総額が100億円程度で、業績が良く、事業内容などから成長性が高いと考えられる銘柄に注目しておくと良いでしょう。

 

また、湖北工業(6524)の例も勘案して、時流に乗った事業を展開している企業も多数登場するなか、時価総額が大きなIPOにも注目です。具体的には、12月14日に再上場予定のスカイマーク(9204)、12月20日に上場予定のINFORICH(9338)、monoAI technology(5240)が挙げられます。

 

IPOは上場時の市場環境に左右される面が大きく、市場環境次第では初値が公開価格を割り込む銘柄が出てくることもあり得ます。しかし、値動きが激しくなりやすいため、短期間で大きな利益を得ることもできます。ただし、短期間で大きな利益を得るためには、その企業の成長性を見極め、資金が集中するような需要があるのかを考える必要があります。

 

以上のことを踏まえて、この2022年の年末に新規上場する上記3銘柄に注目してみると面白いと思います。

 

 

株式情報 日本株 新規上場(IPO) 2022.12.02

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この記事を書いた人

遠藤 悠市

日本投資機構株式会社 アナリスト日本投資機構株式会社 アナリスト
大学時代に投資家である祖母の影響で日本株のトレーディングを始める。大学時代、アベノミクスの恩恵も受けて、株式投資を投資金30万円で始め4年間で990万円まで資金を増やすことに成功する。卒業後、証券会社、投資顧問会社を経て2019年2月より日本投資機構株式会社の分析者に就任。モメンタム分析を最も得意としており、IPO(新規上場株)やセクター分析にも長けたアナリスト

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